2.持ち物−個人編2

 オーケストラの練習に参加する以前のお話です。皆さんの家庭で、例えば個人練習をするとき、あるいは音楽の勉強をするとき、必要なものはちゃんと揃っていますか?


◇譜面台
 楽器の上達の最大の敵は「悪い姿勢」です。
 ときおり、すわった椅子の前にもうひとつ椅子を置き、その座面と背もたれに楽譜を立てかけてさらっているひとを見かけます。これだと当然、楽譜が見にくいため前かがみになり、見るからに苦しそうな姿勢となります。
 あまりにも当たり前の話ですが、こんな時には譜面台を使ってください。そして、常によい姿勢でさらうことを心がけてください。
 さて譜面台には、携帯用の折たたみ式のものと、そうでないものとがあります。予算に余裕があるならば、家庭用に据え置き式のものと、携帯用に折たたみ式のものの、2種類持つとよいでしょう。
 そもそも、チェロなど一部の楽器を除くと、楽器は立って奏くものなのです。そして立って奏くためには絶対、譜面台が必要なのです。


◇CD
 本来、楽譜があれば音楽ソフトは必要ないはずなのですが、まあ固いことをいわず現実的にいうならば、やはりオーケストラ・プレイヤーは、CDを積極的に手にいれて聴いてください。またCDに限らず、ミュージック・テープ、コピー・テープ、レコード等音楽ソフトを、最低4〜5種類集めて聴き込んでください。そしてそのとき、「どの演奏家がどこをどのように表現していたか」という観点では聴かずに、「どんな演奏を聴いても最後には心に残る、その作品が持つひとつのイメージ」をつかみとるよう心がけてください。
 ひとつひとつの演奏に、評論家よろしく批評だけをするのなら、演奏家としてソフトを聴く資格はありません。また、1種類の演奏だけを聴き続けるのも、決して好ましくはありません。あなたがオーケストラ・プレイヤーならば、各曲につき、最低4〜5種類以上のソフトを、まんべんなく聴き込んでください。


◇楽典
 音楽の一般常識の本です。いまあなたが、どんな形にせよ音楽とかかわっている以上は、楽典に書かれている内容の、おおむねを理解できるようにしてください。ある程度楽典の学習が進むと、音楽のジャンルによっては、独学で勉強することができるようになります。


◇音楽辞典
 楽語(音楽用語)を、いまだに楽典だけで調べてはいませんか。楽典はあくまでも理論書であり辞書ではありません。音楽辞典を持たずして音楽にかかわるのは、英和辞典を持たずして英語のABCを学ぶようなものなのです。


◇その他の音楽書籍
 いろいろな音楽学の分野に興味を持ってください。例えば、和声学、楽式論、対位法、音楽史、管弦楽法、作曲法、演奏解釈法、テンポの話、リズム論、アゴーギクについての話、アーティキュレーションの話、デュナーミクの話、作曲家の伝記、etc.……、ときには作曲家の生まれ育った国の気候風土を知るために、旅行・観光案内等を読むのも勉強になるのです。


◇辞書など
 音楽用語となっているイタリア語を調べるための伊和辞典のほか、その時々で取り組んでいる曲の作曲家が用いた言語により、英和辞典、独和辞典、仏和辞典などが必要になってきます。


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