7.ステージマナー

  板につかない、という言葉があります。皆さんは、多くの聴衆の前で演奏する機会を持っています。大勢のひとの前でみっともないことがないよう、ステージ・マナーを身につけ、板についてください。


◇観られることと観せること
 少し観客の立場に立って考えてみましょう。
 クラシック・コンサートに行くということは、観客にとってはそれなりに特別の出来事です。普段は敷居の高い演奏会場にわざわざ足を運ぶわけですから、そしてそこそこの価格のチケットを購入したのですから、きっとお客さんは、それなりの心構えもしているでしょうし、また普段着では決して来ないものなのです。
 さて、いわゆる音楽会にもいろいろありますが、ことクラシック・コンサートに関して、フォーマルかカジュアルかを論ずるならば、それは紛れもなくフォーマルです。観客は、まずフォーマルな雰囲気を楽しみ、しかる後(のち)に演奏を楽しむのです。
 ですからお客さんは、会場のフォーマルな建築物を見、観客同志が醸し出すフォーマルな空気を吸い、フォーマルな気持ちにしてくれるであろうパンフレットを読み、その上で、フォーマル・ウェアを着たオーケストラの楽員の、立ち居振る舞いを観(み)るのです。
 そうです、皆さんは観客から、積極的に観られているのです。それも姿だけではなく、その立ち居振る舞いまでです。
 オーケストラの楽員は、観られていることを意識しなければならないのです。
 さてクラシックのコンサートのステージ・マナーには、ショー・ビジネスのそれとの共通点があります。それは「観(み)せる」という点においてです。
 ショー・ビジネスが華やかさを観せるのに対し、クラシックの音楽家はフォーマルなスタイルを観せなければなりません。しかし一方で私たちは、ショーのエンタテイナーではなく音楽家なので、芸術家としての節度を守らなければなりません。つまり、さりげなく観せる必要があるのです。そして、この観せるテクニックとして、ステージ・マナーがあるのです。
 つまりオーケストラの楽員は、観客に観られていることを積極的に意識し、そしてステージ・マナーを通して観せていかなければならないのです。


◇留意点
 ステージ・マナーについての留意点を、いくつか述べます。


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