9.楽団広報活動について

 アマチュア(アマ)のオーケストラ(オケ)といえども、そのメインとなる活動は(発表会ではなく)公演活動であり、したがってプロの演奏家や地域社会とかかわることも数多い。当然のことながら、楽団の姿勢を地域社会に告知しなければならない場面も、数多く現れてくるだろう。そこで必要となってくるのが、楽団の広報活動である。

 さて「楽団広報活動」ということについて、ひとことでいうならば「楽団の存在およびその演奏活動を、客観性をもたせたうえで広く知らしめる活動」ということができる。

 広報活動は、活動の性格上、どうしてもひとつひとつの活動が独立してしまい、楽団の広報として一貫性をもたせることにはひじょうに困難が伴うが、それを克服して、年間の広報活動全体を捉えたうえで組織的に計画実行したときに、はじめてひとつのポリシーに貫かれた広報活動が展開できるのである。本稿では、広報活動の全体をとらえるための資料を提供することに重点を置いて述べることとする。


9.1.広報メディア(媒体)

 楽団広報活動で利用するメディアには、大きく分けて「ペーパーメディア」「電波メディア」「その他」がある。以下に、それぞれについての簡単な解説をする。


◇ペーパー(印刷)メディア

 この媒体の本質は、媒体そのものが記録(時間を超えた情報)として扱われる可能性を秘めているところにある。

 ◆業界雑誌

 たとえば「音楽の友」「音楽現代」「パイパーズ」「ストリングス」 など。日本全国をカバーしている音楽雑誌のため、このメディアを長年に わたって広報活動に利用していると、楽団の知名度(活動内容ではない) が徐々にあがってくるものである。だからアマオケとしては、決してあな どれない媒体であるといえる。

 ◆一般雑誌

 一般の週刊誌など。コストパフォーマンスなどについて考えると、 特別な事情がない限りあまり利用価値はない。

 ◆自治体公報誌(紙)

 地域社会をその活動基盤としているアマオケにとっては、 直截的な効果が期待できる媒体。ただし情報としての寿命は短い。メディ アとしての性格のうえでは、業界雑誌と対極にあるともいえる。

 ◆ミニコミ誌

これも地域社会をカバーしているため、直截的な効果が期待できる媒体である。公報誌(紙)に比べて、その記事内容はやや柔らかなもの となる傾向にある。

 ◆新聞

 情報としての寿命はいちばん短いかわり、注目度(閲覧効果)はいちばん高い媒体である。その意味でタイミングのよい利用をすれば、広報活動 の効果としては絶大なものがある。また新聞掲載された情報については、 事後の加工により新情報としてリメイクしやすいという点も、その特徴に 挙げられる。広報活動においては、つねに地域でいちばんシェアの大きい 地元紙と全国紙の両方を押さえておかなければならない。

 ◆楽団発行メディア

 たとえば「公演ポスター」「公演チラシ」「公演パンフレット」「楽団紹介冊子(オーケストラ・インフォメーションなど)」「楽 員募集チラシ」など、楽団が自主的に発行したペーパーメディア。楽団の 広報活動用に作成されたもの(アイテム)であるから、とうぜんのことな がら直截的なインパクトがある。問題は、そのアイテムがどのようなクォ リティで制作されているのか、という点と、そのアイテムの運用計画はど の程度のクォリティで作成されているのか、といった点である。

 ◆その他

 たとえば、各企業の社内報、各業種別業界誌、商工会議所やJCなどの公報誌などが挙げられるが、よほどのコネ(コネクション)がない限り 食い込みは難しいので、あまり一般的とはいえない。


◇電波メディア

 この媒体の本質は、まず「音声メディアであること」にあり、さらに付加価値として「映像メディアであること」にある。「音」または「音および映像」を扱う公共のメディア、と解してもよい。

 ◆TV

 現代社会においては、総てのメディアのなかでいちばん注目度(閲覧効果)の高い媒体である。ただし情報の寿命は一瞬で、ひたすら視聴者の記 憶に頼らなければならないという大きな欠点ももつ。しかし、それでもな お情報としてのインパクトは大きく、その演出効果によってはセンセーシ ョナルですらある。

 ◆ラジオ

 かつてのラジオのポジションがTVにとって変わられて久しいが、現 在ではむしろ、TVとラジオは完全な棲み分けが成立しているといえる。 現在のラジオの性格はというと、家庭用放送メディアとしては傍流、移動体放送メディアとしては今のところ主流、ということになるのだろう。よ って告知効果(=閲覧効果に匹敵)は、TVに比べてかなり低い。ただし その分、アマオケの広報メディアとしては、注文がつけやすいし、放送時間を割いてくれやすいし、そのうえ(素人くさい演奏をしている)映像がない分、それなりのメリットがあるともいえるのである。

 ◆CATV

 厳密にいうと「電波」メディアではないが、視聴者にとっては電波メディア主流のTVと同じ受け取り方をされているので、CATVも同様 に論じる必要がある。さてCATVは、鳴り物入りで導入されたわりには 普及率が芳しくなく、したがって両者(提供者、視聴者)の利用法においてもまだまだ発展途上である。その分、TVなどいちおうの完成(?)を みたメディアに比べて発展性があるともいえるのである。またCATVは、 一定の地域だけをカバーするという特質上、地域社会へのプレゼンテーシ ョンとして広報活動をしているアマオケにとっては、今後重点を置いて接 してゆかねばならないメディアだといえる。

 ◆その他

 国家事業としての「マルチメディア計画」の成熟とともに、この項で 扱うべきメディアの種類も増えていくだろうが、現時点では上記3媒体の ほかは、有線放送(CATV同様、厳密には「電波」メディアではない) くらいしかないだろう。アマオケは「音楽団体である」という特質上、有線放送に乗せることは可能であり、その意味で多少の検討価値はあるとい えるだろう。


◇その他

 前記「電波メディア」が公共のものだとすると、本項で扱うメディアは「私的メディア」である。ただしこれらを「メディア」とするためには、綿密な運用計画が必要であるともいえる。

 ◆CD

 演奏記録としてや想い出作りとして、CDを制作することがある。実はこれも、立派な広報活動用メディアとして利用することができるのである。 たとえば電波メディアに素材として持ち込むほか、キャンペーンのBGM として使用することも可能なのである。

 ◆ビデオテープ

 演奏記録としてや想い出作りとして、ビデオを制作することがある。実はこれも、立派な広報活動用メディアとして利用することができ るのである。特に広報活動用に(練習風景などを加えて)編集しなおし、 プロモーションビデオとして制作すると、利用範囲は大きく広がるのである。

 ◆その他

 制作費は計り知れないが、プロモーション用LD(レーザーディスク) を制作してもよい。


9.2.広報活動の対象

 広報活動というものは、すべからく、その活動対象が誰であるのかという点において事前確認されていないと、ほとんど効果のないものになってしまう。楽団広報活動における活動対象には、次のものがある。


◇聴衆

 聴衆とは、公演に来場くださった方々のことである。


◇地域の音楽愛好家

 ここでいう音楽愛好家には2種類ある。ひとつはリスナーとしての音楽愛好家のことであり、もうひとつはプレイヤーとしての音楽愛好家のことである。


◇地域住民

 文字どおり、楽団の活動地域の住民のことである。このうち地域とは、所属市町村の場合もあれば公演会場のカバーエリア(集客に関する)のことの場合もあるが、特に注釈がない場合には同じ新聞や同じ放送の聴けるエリアと理解した方がよいだろう。


◇自治体および企業など

 自治体としては、常時には県および市町村、非常時には国を押さえなければならない。

 企業に関しては、地域企業と全国企業に分けて認識しなければならない。


◇全国の音楽愛好家

 これについても、リスナーとしての音楽愛好家とプレイヤーとしての音楽愛好家を分けて認識する必要がある。


◇その他

 海外公演を企画したときなど特別な場合に限り、特定の国や世界企業を認識する必要があるといえる。


9.3.広報活動で扱う情報

 楽団の広報活動で扱う情報には、以下のものがある。


◇公演案内

 特に主催公演の告知など、楽団が出演する公演のお知らせが目的である。この広報の二次目的には「楽団案内」「入場券販売」「集客」などがある。


◇楽団案内

 楽団の存在アピールが目的である。この広報の二次目的には「公演案内」「楽員募集」「援助者(スポンサー)公募」などがある。


◇楽員募集

 楽員の補充が目的である。


◇その他

 上記のほかには「援助者(スポンサー)公募」「入場券販売」などがある。


9.4.広報活動の種類

 楽団の広報活動には、その告知の仕方において幾通りかの種類がある。以下それぞれについて論じるものとする。


◇パブリシティ

 公共メディア上で「報道」という形をとり、原則として客観性を帯びた文(または文章)でつづられる、番組または記事をいう。楽団にとっては「マスコミの取材を受ける」というのが基本スタンスであるが、そのぶん報道は取材者(記者)の思惑(おもわく)により構成され、楽団の意図は反映されにくい。しかし、この報道に対する代価は無料である。


◇PR

 公共メディア上で「広告」という形をとり、原則として楽団の主観のみでつづられた、番組または記事をいう。とうぜんのことながら、広告である以上、広告宣伝料金が必要となる。


◇営業

 前記2種類(パブリシティとPR)の広報活動が、公共メディアを使ったうえでの「大衆」を対象としたものだとすると、この「営業」活動における広報活動は、私的メディアを使ったうえでの「分衆」(ぶんしゅう=極めて限定された「個人」や「法人」)を対象としたものであるといえる。営業における実際の行動としては、各広報対象に対して個別に、広報用アイテムをプレゼンテーションしつつアナウンスメントしていくというもので、その実務担当には原則として楽員があたることとなる。


◇その他

 直接の広報活動ではないが、広報活動のプレ(前)段階として「広報用アイテムの制作」と「広報活動のプランニング」がある。


9.5.広報用アイテム

 広報活動に用いられる主なアイテムについて以下に示し、その性格や運用法などについて簡略に解説することとする。


◇公演ポスター・公演チラシ

 公演案内であり、公演チケットの購買意欲を刺激するアイテム。特にチラシは、公演チケット販売時に付属アイテムとして用いられることも多い。運用法としては次のとおり。

 公演ポスター

 公共の街頭ポスター掲載スペース、公共施設のポスター掲載スペース、許可を得た街頭各所、許可を得た一般店舗、各種学校などに掲示するもの。また映像メディアを利用した広報活動のときに、背景としてポスターを利用することも多い。ポスターサイズとしては、A2またはB3が一般的。視認性や注目効果が高く(雨などに対する)保存性の高いものを制作しなければならない。

 公演チラシ

 各公共施設等に(利用者持ち帰り用として)まとまった数を置いておいたり、キャンペーン期間中に催される同種のコンサートのパンフレットに挟み込んだり、街頭やコンサート会場入り口等で配布したり、チケットの販売の添付アイテムとして用いたりする。チラシの裏面は、協賛企業広告や、出演者プロフィールや、公演そのものをアピールするコピーの掲載スペースとして利用することができる。サイズはA4またはB5が一般的。

 なおポスターとチラシのデザインを同一にした方が、制作費の軽減となるばかりでなく広報メディアとしてのリピート効果も高いため、好ましいといえる。


◇楽団紹介冊子(オーケストラインフォメーション)

 広報活動や楽員勧誘活動、入団案内等に使用する、楽団自らを紹介した冊子。内容は、楽団の活動、公演、楽員、組織、経費、沿革、指導者などについて簡略にまとめたもの。予想される年間運用冊数は数10冊程度なので、ワープロ版下、両面コピー、ステープラ(ホッチキス)製本の、ハンドメイドを原則とするが、それでも数年に1回くらいは、写真やイラストを効果的に配しオフセット印刷したものを業者に発注した方が、楽団の発展性の点で効果が高いといえる。


◇公演企画書

 ここでいう「企画書」とは、公演制作用のものではなくあくまでも広報用のものであるから、その性格は企画概要書である。内容は、表紙、前文、公演概要、添付資料等である。

 企画書は、B5またはA4片面印刷(片面コピー)ステープラどめ数ページの冊子に仕上げればよいので、ほんらいならば必ずしも表紙を必要としないが、こと広報用に活用するアイテムであるという観点からは、各マスコミなど活動対象が認知しやすいという点において表紙は必要不可欠なものであるといえる。表紙には、企画名称、企画書作成期日、作成者などを記す。

 前文は、挨拶文、公演概説、みどころ、特に主張したい点などを、バランスよく配することが肝要。特にこの前文において留意したいのは、この前文の特定の部分を抜き出せばそれだけで新聞記事になるような文章を書くことである。

 公演概要には、公演名称、開催日時、公演会場、演奏曲目、出演、主催・共催、協賛、後援、入場料、問い合わせ先などを、箇条書きにて記す。

 添付資料には、演奏曲目解説、出演者略歴および写真などがある。


◇公演パンフレット

 過去の公演におけるパンフレット。特に1回前の公演のものが有効。公演パンフレットの制作においては、広報用に事後利用できるものをこころがけなければならない。


◇CD・ビデオなど

 公演の演奏記録、映像記録としてのCD・ビデオなど。


◇各種企画書

 各種目的別企画書。たとえば記念式典企画書やCD制作企画書など。


◇記念誌等楽団出版物

 楽団創立○○周年記念誌や海外公演記念誌、各種報告書など、楽団が出版した私家版の出版物。


◇楽員募集チラシ

 折り込み広告や挟み込みチラシ等の運用目的で制作された、楽員募集のためのチラシ。記載内容は、キャッチコピー、募集要項、連絡先、写真・イラスト、地図など。サイズは公演チラシに準ずるものとする。


◇その他

 楽団に関係のあるもの総てを広報用アイテムにすることができるが、特に楽団関係の新聞記事のスクラップなどは有効に利用することができる。また、ほんらいはこれらアイテムを収納するためだけの目的の封筒も、楽団ロゴの入った封筒を用いることによって広報アイテムとなるのである。


9.6.広報活動の実際

 広報活動の実際についていくつかの例をとり、ひとつひとつケースワークしてみることとする。


◇公演案内(パブリシティ)

 パブリシティとしての公演案内は、公演前2週間〜1カ月におこなわれる券売目的のそれと、公演直前(2〜3日前)におこなわれる集客目的のそれとに区別されるが、アマオケが主におこなっているのは後者のほうである。映像メディアには取材を依頼することによりその活動がはじまり、活字メディアには各種資料を持ち込んだときにその活動がはじまるといえる。最終的には記者の主観で発表されるため、取材等にあたって楽団担当者は、特に主張したい点などを簡潔に表現しなければならない。

 ◆利用メディア

 地域を代表する放送および新聞。市町村の公報誌。地域のミニコミ誌。

 ◆必要アイテム

 取材依頼書。公演企画書。添付資料(プロフィール・写真など)。

 ◆運用方法

  1.  取材要請または掲載依頼(放送報道局、放送文化事業部、新聞文化部、各誌編 集部など)。各種書類(公演企画書、添付資料など)の提出。
  2.  取材日程調整(できる限り指揮者リハーサルの日程に合わせる。ソロ合わせのためにソリストが同席しておればなおよい)。
  3.  取材にあたっての楽団の準備(会場確保、出演者スケジュールの最終調整、楽員がインタビューを受ける場合には、その人選と発言内容の確認)。
  4.  取材当日(取材記者に好感をもたせるのがポイント)。

 ◆備考

 新聞市内版やミニコミ誌などの購読者投稿企画記事(たとえば「告知板」などのネーミングのコーナー)に投稿する方法もある。その際には、演奏会案内だけでなく「公演50名様ご招待」とか「チケット譲ります」などの付加価値をつけるのも、ひじょうに効果的な方法である。なお、放送メディアのスタジオ生出演などの機会には、背景用にポスターを持参するとよい(面積をだすために、ポスターを4枚程度はりあわせるとよい)。


◇公演案内(PR)

 PRとしての公演案内は、経費の点でアマオケにはあまり向かない。しかし公演PRが皆無というのも、また考え物である。そこでここでは、音楽雑誌などを広報媒体としたPRについて考えてみることにする。

 この「音楽雑誌を媒体とした公演案内(PR)」という広報の意味は、定期的に公演を開催している楽団であることの全国的アピールであり、また間接的・長期的広報活動であるともいえる。広報効果としては、券売・集客ともにそれほどの効果はなく、むしろ楽員募集的意味あいでの効果が大きい。

 ◆利用メディアおよび対象

 音楽雑誌(「音楽の友」誌など)。地元放送局のラジオやTVなど。

 ◆必要アイテム

 各公共メディアが定めるもの。必要に応じて、ポスター、スチール写真、BGM 素材(公演プログラムのなかの曲など)。

 ◆運用方法

 各メディアの定める方法による。月刊誌の場合は前月発売が基本で、原稿締切は 前々月という場合もあるので注意が必要。放送メディアについては、放送局(ま たは代理店)と相談しながら運用することになる。

 ◆運用経費

 各誌の定める広告掲載料。各放送局の定めるCM放送料(制作料を含む)。

 ◆備考

 音楽雑誌への広告掲載によるPRは、絶大なる告知効果(楽団名称を全国的に知らしめる効果)をもっている。このことは中長期的に、楽団の社会信用が増大するという効果をももたらす。よって音楽雑誌への広告掲載による公演PRは、一種の先行投資に似た意味あいで捉える方がよいだろう。

 放送メディア利用のPRについては、ラジオあたりが現実的だろう。券売・集客ともに、それなりの効果が期待できる。いずれにせよ、ふだんから地元マスコミとの友好的な関係を築いておくと、PR活動についても大きな協力を得られることが多い。極端な例を挙げると、とある学生オケでは過去に、地元放送局の好意によりわずか5万円の放映料金で、深夜帯(結果的にはデイタイムを含めて1日3回以上オンエア)のTVコマーシャル(放映期間2週間前後)をしている。


◇楽員募集(パブリシティ、PRおよびDMなど)

 常識的に考えるならば、どの楽団にも理想的な定員というものがある(入団希望者には無条件に入団を認めるということを本気で考えているような楽団は論外である。たとえば、いちどに50名ほどのクラリネット入団希望者がいた場合、いったいどのような対応をするのだろう)。ほとんどのアマオケの場合、管楽器パートのいくつかは定員を満たしているが、それ以外のパートは大きく定員割れを起こしている、というものだろう。そこで、徹底した楽員募集をしなければならない。

 楽員募集活動は、原則として地域住民に対して展開される。また、近い将来に地域住民となる転居予定者も、その対象となる。

 さて、全人口に占めるクラシック人口の割合は、それほど大きなものではないと考えられる(一般的に10%といわれている)。このうち演奏者人口はその何分の1かだろうし、オーケストラ楽器の演奏者人口はさらに少ない。

 楽員募集活動の対象が地域住民(およびその予定者)とはいっても、オーケストラ楽器演奏者でなければ何の意味もないのである(楽団が教育システムを充実させたうえで楽器初心者を育成する場合は、その対象がクラシック人口にまで広がることになる)。

 以上のことを考え合わせると、地域メディアに対してはパブリシティとしての楽員募集活動を、全国販売の音楽雑誌などにはPR活動を、地域の音楽団体退団予定者(大学オケ卒業予定者など)個人に対してはDM等(ダイレクトコールも含む)の活動をするのが効率的であるといえる。

 ◆利用メディアおよび対象

 地域を代表する新聞。地域のミニコミ誌。音楽雑誌(「音楽の友」誌など)。楽 員募集チラシ(楽団発行)。電話。

 ◆必要アイテム

 各公共メディアが定めるもの。必要に応じて、楽団紹介冊子(楽団インフォメー ション)、スチール写真など。

 ◆運用方法

 ◆運用経費

 各メディアの定める広告掲載料。チラシ等印刷費。折り込み手数料。郵送料。

 ◆備考

 楽員募集広報は、転勤シーズンなどに集中させると効果的である。転勤の前後には、アマチュア演奏家たちは新しい土地での音楽環境について知るため、音楽雑誌を中心にあらゆるメディアから情報を収集するものである。

 さて、PRにおけるコストパフォーマンスについてだが、常識的に考えるならば、音楽雑誌などへの1回の広告掲載で1〜2名の入団者があれば、団費等の増収、エキストラ経費圧縮のため、広告掲載コストは吸収できるものである。

 楽員募集のパブリシティのうち地域メディア利用のものには、新聞市内版やミニコミ誌などの購読者投稿企画記事(たとえば「告知板」などのネーミングのコーナー)に投稿する方法がある。この方法は、定期的(2カ月に1回程度)におこなうのが効率的だといえるだろう。

 いずれの場合も楽員の募集に際しては、パートおよび募集人数を指定するのが肝要である。間違っても「全パート募集中」などとしない(実際に全パートに欠員があったとしても、このような告知のしかたをすると、いかにも貧弱な楽団だとの印象を与えるからである)。楽団によっては、一般公募での楽員補充をするのは弦楽器(トゥッティ)にとどめ、管楽器や弦楽器首席奏者については、候補者を一定期間エキストラ扱いして様子をみた(人柄、技量、楽団との相性など)うえで、入団可否の判断しているところもある(この方法は楽団クォリティ向上のためのものであるが、もしも適切な指導のもとにとりおこなわれなければ、人間関係を劣悪なものにしたり社会的な信用をなくす恐れがあるので、充分な配慮が求められる)。


9.7.その他

 オケ活動とは、結局のところ「人(ひと)集め」につきる。まず同じ志(こころざし)をもつ仲間を募り、そのうえでよい指導者を求め、しかるのち観客を集めて公演を開催するのである。

 さて、アマオケにとって楽員数が充実しているということは、ひじょうに望ましいことである(むろん質的にも充実していると申し分ない)。リハーサル内容を蓄積しやすくなるし、音楽表現の統一が図りやすくなるし、エキストラ出演料などの出費が減るし、団費をはじめとする収入が増えるからである。

 また、アマオケにとって公演の観客数が増えるということは、ひじょうに望ましいことである。公演という形で社会に存在をアピールしている以上、公演観客数増大ということは、平均的なオケ楽員が考えているよりもはるかに重要な意味をもつ。

 さて、楽員募集にしても公演の集客にしても、当初は一般市民(大衆)への働きかけによっている。そして、この大衆への働きかけこそが楽団の広報活動というものなのである。つまり広報活動の基本は、一般大衆の「オーケストラ」に対するイメージを尊重したうえで、新たな興味を喚起するものを提供するところにあるのである。

 ただし現時点でのアマオケには、広報のノウハウが各メディア別に開発されてはいないし、また楽団が活動をしている地域差もあることなので、広報担当者はむしろ新たなシステム開発をするつもりで取り組むべきだろう。

 最後に、今後の広報活動を発展的に捉えるうえでのヒントなどをいくつか提示する。


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