| ■ ダブルスピン投法 |
| 手塚氏がピッチングの原理であると言っているものが、このダブルスピン投法です。 |
| これは第一軸と呼ばれる脊柱(背骨)と第二軸と呼ばれる上腕(力こぶがあるところ。この時、肘は90°に曲げる)が、 |
| 直角に交った状態でそれぞれの軸が回旋を始めると、肘が勝手に伸ばされ、指先はかなりの高速で振られる…と言うものです。 |
| このそれぞれの回旋を生み出すためには、第一軸は腰の回転、第二軸は0ポジションを利用した回旋が必要であるとのことです。 |
| ダブルスピン投法は、手塚一志氏が提言されたもので、今までのピッチング理論を覆す内容が多くありました。 |
| ここではその今まで正しいとされてきた内容を覆すものはどんなのがあるのか載せる |
| のではなく、その手塚氏が提言されたピッチング理論の内容を解説していきます。 |
| まず、ピッチングには欠かせない、必須モーションがあります。それは、 |
| 1、「根を生やして」 |
| 2、「エッジを効かせて」 |
| 3、「Cアーチを架けて」 |
| 4、「うねり上げて」 |
| 5、「ターゲットを射して」 |
| 6、「オレンジをしぼり潰す」 |
| の6つです。 |
| 「根を生やして」とは、 |
| 簡単に言うと、足を上げた時に安定していようということです。 |
| 手塚氏は、Y字バランスをレッグアップの通過点としようと言っています(写真1)。 |
| これがY字バランスなんですが、明らかにプロ野球を代表する投手でこれを通過していない人がいます。 |
| ということは、Y字バランスは必ず通過しなくてはならないというわけではなく、 |
| Y字バランスを目安に、自分に合った安定する体勢を求めるべきだと思います。 |
| 要するに、足を上げてフラつかなければ次の動作に繋げることはできるということです。 |
| 「エッジを効かせて」とは、 |
| 手塚氏が命名したエッジングと言う動作をしろということです。 |
| 簡単に言うと、並進運動中に足の裏がプレート側を向いていて、足の内側が地面に付き、外側が浮いている状態です。 |
| こうする事で、大地からのエネルギーをダイレクトに股関節へと繋ぐ事ができるわけです。 |
| ただし、意識してやりすぎると、エネルギーが膝から逃げていくので、程度が大切です。 |
写真2(エッジング) |
| 「Cアーチを架けて」とは、 |
| エッジングをしている軸足と体側とボールを持っている腕が作りだすラインが丸くなっているべきということです。 |
| これは前足が地面に着地するほんの少し前に出現するべき動作です。 |
| 「C」の形をしたアーチをどこに架けるのかというと、ボールをもった腕側の、指先から足の先までです(写真4)。 |
| このCアーチを架けるには、スクラッチというモーションが絡んできます。 |
| スクラッチとはなにか。 |
| 要するに、投球側の腕を脱力した状態で一度体幹横に下ろし、そこから自然にひじを90度の状態に導く動作です。 |
| スクラッチとはどのようにしてするものなのか? |
| 本来、スクラッチとは無意識下で行われるべき動作なので、「する」という表現は適切じゃないかもしれません。 |
| 逆に、力を入れて意識して過剰にやりすぎると、肩、肘に違和感を感じる事になると思います。 |
| それと、スクラッチという動作を起こすには、ある程度の柔軟性と弾力性に富んだ肩甲骨周辺の筋肉が必要です。 |
| なぜかというと、肩の筋肉が硬化を起こしている場合、スクラッチでのコッキングアップ(肘を上げる動作)の動きが制限されるためです。 |
| そのため、無理に引き上げようとし、結局力のこもったニセ・スクラッチになってしまうのです。 |
| さて、その他も含めて注意点としては、 |
| まず、上半身はできる限り脱力する。 |
| そして、スクラッチ時の肘角度は90度にする。 |
| さらに、腕が背中に入り込まないように注意する。腕を内旋させる。意識せず、無意識下で動作が勝手に進行するようにする。 |
| これで、Cアーチが架けれるはずです。 |
![]() 写真3(スクラッチ) 写真4(Cアーチ) 写真5(スクラッチ2) |
| 「うねり上げて」とは、 |
| 下半身からのSSCの連鎖のことです。 |
| この動作がないと、速い球はなかなか投げれません! |
| うねり上げる・・・・・・・・うねり投法です。 |
| うねり上げるとは、地面からのエネルギーを増大、加速し、体幹部へそのエネルギーを伝える動作です。 |
| エッジングによって少しずつ股関節へ流れていくエネルギーに勢いをつけ、一気に駆け上がらせる・・・・・・・ |
| それがうねり上げです。 |
| 動作のポイントは、凄い勢いでうねり上げたあと、上半身がどれだけ我慢し、割れを作れるか、です。 |
| 「割れ」とは、簡単に言えば上半身と下半身のタイムラグ(=時間のズレ)のことです。 |
| 割れが大きければ大きいほど、溜めに溜めたエネルギーを一気に爆発させ、ボールへと伝える事が可能になるわけです。 |
![]() 写真6 写真7 |
| 「ターゲットを射して」とは、 |
| ターゲッティングのことです。 |
| ターゲッティングとは、「前腕骨のラインが捕手方向を向いていて、腕がしなっている状態」のことです。 |
| ターゲットを射してができれば、野球肘、野球肩の発症確立を大幅に削減する事ができます。 |
| ターゲットを射すとは、簡単に言えばその名の通り、標的をロック・オンする(=ターゲッティング)ということです。 |
| ではどこでロック・オンするのか。 |
| それは肘頭部です(写真8)。 |
| このターゲッティングに到達するためには、スクラッチに続いて出る、ループという動作が不可欠です。 |
| それでは、ループとはいかなるものか。 |
| ループとは、スクラッチとターゲッティングの架け橋的な役割を持ちます。 |
| 脱力し、スクラッチができているならば、ループも自然に出てくるはずです。 |
| もし出てこない場合は、スクラッチの動作のどこかに問題があるということですね。 |
| まず、スクラッチを完璧にさせましょう。 |
写真8(ターゲッティング) |
| 「オレンジをしぼり潰す」とは、 |
| 要はしっかりと上半身を回転させましょうと言うことです。 |
| 中途半端な第一軸(体幹)の回転では本当に良いボールは投げられないと言うことです。 |
写真9 |
| 以上がダブルスピン投法の概要です。 |
モデル Yuma Watanabe 3年生時