現代心理学における情報処理パラダイムの重要性


 現代心理学のひとつに認知心理学がある。認知心理学とは 人間の認知(注意・知覚・学習・記憶・言語・思考) 機能について情報処理パラダイムを使用して研究する学問である。

 認知心理学は、認知科学と密接に関わっている。認知科学とは 知的システムと知能の性質を理解しようとする研究領域であり、 一般に、心理学的データから構成された認知過程の複雑な相互作用に関する理論を、 プログラミング言語を用いて明確にモデル化し、コンピュータ・シミュレーションの実行によって、 モデルの論理的整合性と心理学的妥当性の検証が行われる。 人間をコンピュータに類似した一種の情報処理装置と考え, こころの動きを外界からの刺激(入力情報)と反応(情報処理された出力) との関係という観点から実験的に検討し, それによってモデルを作ろうとする情報処理システムのアプローチである。

 典型的な認知科学的態度によれば,人間の認知過程は記号で表現可能な 知識表象に対する複雑な形式的操作(computation)であるとみなされている。 これに対して,脳神経系から抽象化された 並列分散処理(PDP:Parallel Distributed Processing)と呼ばれるパラダイムがある。 並列分散処理モデルでは,相互に結合された多数の単純な処理ユニットの ネットワークが活性化の伝播を介して並列に作動し, 全体としてまとまった情報処理を実行する。 そして,知識は局所的学習規則によって更新される結合ウェイトの集合として 表現できると主張され,認知科学の新しい流れを形成している。

 以上のようなことから現代心理学のひとつである認知心理学における 人間の認知機能の研究に情報処理パラダイムが重要であることを認識できる。


「現代心理学における情報処理パラダイムの重要性」  「演繹推理における思考と具体性」  「ステレオタイプと偏見について」


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